『一方的な利益』余談(オンライン・ポーカーと法律)
『一方的な利益』判例の余談です。
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・大審院大正6年4月30日・大審院刑事判決録23巻436頁「当事者の一方が危険を負担せず、常に利益を取得する組織の場合、賭博罪は成立しない。」(「判例六法 平成2年版」有斐閣)
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この判例をうまく利用して、言い逃れをしたのが平成12年の新潟県警の不祥事です。
---- 『東京新聞 2000.02.27 朝刊 25頁 社会面』より引用 ----
新潟県警本部長解任 局長との宴席に県警の5人参加 生安部長は麻雀も
新潟の女性監禁事件で女性が保護された一月二十八日夜、新潟県三川村の旅館で、特別監察に訪れた関東管区警察局の中田好昭局長と飲食した新潟県警の幹部名が二十六日、関係者の話で明らかになった。
(中略)
このうち中田局長や小林本部長、長谷川部長らが懇親会の後、マージャンに興じた。
---- 引用ここまで(記事検索には@niftyの新聞・雑誌記事横断検索を利用しました) ----
この事件の報告書を巡る国会での答弁は以下のとおりです。
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●新潟県警察をめぐる事案に関する報告書
・「この調査報告書にも、マージャンにおきましては、満貫賞の景品として本部長が五百円の図書券二十枚を私費で購入、提供したということを認定しておりまして、本部長が購入をした図書券を満貫以上の役で上がった場合に景品として一枚が配られたとの報告を受けておりまして、そのように承知をしているところであります。(参議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第2号からの引用。中村敦夫公式サイトにも、同じ内容の新潟県警・雪見マージャン事件があります)」
・「マージャンは、満貫賞の景品として本部長が五百円の図書券二十枚を私費で購入、提供していて、その都度図書券一枚が配られているので、財物の得喪を争っていないことから、刑法百八十五条の賭博罪には該当しないものと考えられる。(第147回国会 法務委員会 第5号からの引用)」
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この言い逃れのポイントは、
1.景品は本部長の自腹である
2.賞金ではなく、図書券という景品である
3.勝負事の結果で景品が渡されたわけではない
といったところです。項3はあまりにも苦しい言い訳なので論外なのですが、項2については論点を巧みに誘導している、と考えられます。この問題を断片的に聞いた人は、こう思うはずです。「じゃあ、現金ではなく図書券なら違法ではないのか」と。
これまでの内容から分かるように、この言い逃れの最大のポイントは項1です。これだけで、賭博罪は成立しないのです。項2を付け加えることで、現金を賭けていないことが論点であるかのような印象を与えておき、利益の取得が一方的であったことを既成事実として認めさせています。ずるいけど、巧妙な手口です。
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