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2004/10/03

「フェイク」書評

 表紙のAのフルハウスの写真に惹かれて手に取りました。裏表紙の帯には「ポーカーの勝負」と書かれていたので買うことにしましたが、同時に「入念なイカサマ」とも書かれていたので期待せずに読みました。
 ストーリーの中に薀蓄を盛り込む作風を感じましたが、少しかじったことを無理やり利用しているようにも感じました。冒頭の紅茶ネタは、いかにもためしてガッテン紅茶の回を利用しました、という印象です。
 肝心のポーカーですが、現在の主流ではない、ということを前置きした後でのドロー・ポーカーでした。しかし主流がファイブ・スタッドとセブン・スタッドと書かれているのは、明らかな調査不足です。セブン・スタッドはともかく、ファイブ・スタッドはどうでしょう。参考文献に「シンシナティ・キッド」が挙げられていたので、その影響でしょう。現在のポーカーの主流はテキサス・ホールデム・ポーカーですから。
 テクニックについても、ポーカーをプレーする人間としては不満があります。それはドロー・ポーカーがスタッド・ポーカーよりもテクニックを必要とする、と書かれていることです。スタッドは、一部のカードが見え情報量が増えるということで、カードが見えないドローよりも相手の手が読みやすい、ということがその根拠のようです。せめて、スタッドとドローでは使うテクニックが違う、ぐらいの表現にしてもらいたかったです。
 用語の使い方にしても、ブラフのことをフェイクと表記している部分がありましたが、用語は正確に使って欲しかったです。ただ、この用語の間違いは意図的なものと思われ、ストーリーの都合上やむをえなかったのでしょう。
 ポーカーのプレー場面は評価できませんし、細かい疑問を感じさせる部分はありますが、物語としての面白さがあったのは救いでした。

フェイク」 著:五十嵐貴久(幻冬舎,ISBN4-344-00679-8)

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